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「削除したから終わりではない」精神障がい理由に傍聴禁止、当事者ら説明と謝罪求める


「削除したから終わりではない」精神障がい理由に傍聴禁止、当事者ら説明と謝罪求める
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 共生社会の実現に向けての取り組みが全国的に進む中で、一部の自治体では教育委員会会議傍聴人規則に不適切な表記が残されていた。指摘を受けた自治体は早急に削除し改正したものの、当事者や支援団体からは「表記が残っていたこと自体をもっと重く受け止めるべきだ」と怒りの声が上がっている。

 今回、全国調査を行った「心の旅の会―」の寺澤暢紘さん(78)は「どちらもすぐに削除に動いてくれてはいるが、残っていたこと自体が問題で、差別への無自覚、無意識を強く感じている。全国的に差別解消に向けた対応がまだ十分ではない」と語った。

 県精神保健福祉会連合会の山田圭吾会長は「規則にある文言は大きな意味を持つ。なぜ残っていたのか、消すに至ったのか、謝罪も含めて公に説明すべきだ」と指摘。意図的なものでなくとも表記や言葉そのもので、当事者が受ける心の傷があるとして「こっそり消して、なかったことにしているのは許されることではない。これで問題が解決したとは決して思ってほしくない」と強調した。

 障がい者の社会参加を支援するNPO法人県自立生活センター・イルカ(宜野湾市)の長位鈴子代表は、膨大な法令や規則を「行政が逐一チェックするのは業務量的に厳しいことも分かる」と一定の理解を示す。一方で「表記は差別を受ける当事者しか気にならないのだろう。(行政が)気にも留めていないから残っていたのではないか」とやるせない様子も見せた。

 今回見つかった表記は、障がい者差別の氷山の一角に過ぎないとも語る。2014年に他県の議会規則で議場に白杖の持ち込み制限の表記があり、視覚障がい者が杖を取り上げられそうになったことに触れ「改善していくためには、行政の確認はもちろんだが、当事者が指摘していくことも必要だ」と話した。

(新垣若菜、渡真利優人)