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最大3・03倍、年内判決へ 1票の格差 昨年7月の参院選


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 「1票の格差」が最大3・03倍だった昨年7月の参院選が投票価値の平等を求める憲法に違反するかどうかが争われた訴訟の上告審弁論が20日、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)で開かれ、即日結審した。年内にも判決を言い渡し、統一判断を示す見通し。期日は追って指定される。
 二つの弁護士グループが選挙無効を求め、全国14の高裁・高裁支部に16件を提訴。一審段階の判決は仙台高裁の違憲1件のほか、違憲状態8件、合憲が福岡高裁那覇支部の判決を含め7件と判断が分かれていた。1票の格差訴訟は憲法判断が必要となるため、大法廷での審理が慣例となっている。
 午前には山口邦明弁護士らが起こした訴訟の弁論を実施。メンバーの三竿径彦弁護士は「最高裁は国会に対し、議員定数の配分が人口に比例したものとなるよう是正を命じるべきだ」と指摘。午後の別グループの弁論では升永英俊弁護士が「今回の参院選は格差是正の具体的な取り組みがないまま実施された。少なくとも違憲状態と判断されるべきだ」と訴えた。
 相手方の各選挙管理委員会側は、隣接県を一つの選挙区にする「合区」に反対意見もある中で国会が今回も維持し、格差縮小の取り組みを続けているとした上で「格差は著しい不平等状態になく合憲だ」と主張した。
 昨年7月10日投開票の参院選では、選挙区の議員1人当たりの有権者数が最少の福井県と、最多の神奈川県との格差が3・03倍だった。2019年選挙の3・00倍からはやや拡大した。