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好発進LRT 課題は事故 開業1カ月 栃木 想定超す乗客数


好発進LRT 課題は事故 開業1カ月 栃木 想定超す乗客数 乗客らでにぎわう宇都宮駅東口停留場=19日、宇都宮市
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 宇都宮市と栃木県芳賀町間を結ぶ次世代型路面電車(LRT)が開業し、26日で1カ月となる。休日は県外から訪れる乗客数も想定を超え、順調な滑り出しと言えそうだ。一方、ダイヤの乱れや乗用車との接触事故が相次いで発生するなど課題も見えてきた。
 「あれに乗るんだ」。平日朝の宇都宮駅東口停留場。入線する真新しい車両に、長い列をつくった通勤通学客の声が弾んだ。週末になると、行列は家族連れや観光客に様変わり。車両に向けてカメラやスマートフォンを熱心に構えた。
 運行する第三セクター「宇都宮ライトレール」によると、開業1年目の需要予測は平日1万2800人、休日4400人。開業後の週末の乗客数はいずれも予測を大きく上回り、4倍を超える週末もあった。LRTに乗るために宇都宮市を訪れた兵庫県の会社員谷口賢治さん(59)は「車内は静かで快適だった。住民が慣れればもっと便利になるだろう」と期待した。
 沿線に研究開発施設を置くホンダ(東京都港区)は、駅東口からの通勤バスを8月で廃止。1日に延べ約1200人が利用していたが、LRTの通勤に切り替えた。「渋滞がないので圧倒的に早く、乗り心地もいい」と好評だ。
 開業当初、運賃の支払い方に迷ったり現金払いを希望したりする乗客が多く電車の遅れが発生した。ライトレールはICカードの利用を促す案内を増やした。乗客も徐々に慣れ、平日の遅延は解消傾向だという。
 新たな懸念材料は車との事故だ。開業1カ月を待たず、接触事故が3件発生。うち2件は右折禁止を標識で示した場所や、信号機のある交差点で起きた。
 交通環境の変化の一つに「右直分離」信号の導入がある。衝突を避けるため、LRTの直進と車の右折はタイミングをずらすルールだ。しかし、県警などによると、LRTにつられて動いてしまう右折車や、発進をためらって立ち止まる車が散見されるという。
 関係機関は対応を急いでいる。市はドライバーに注意喚起する仮設看板を増設。ライトレールは歩行者が多い場所や暗くて見づらい地点などを地図上に記し社内で情報共有している。
乗客らでにぎわう宇都宮駅東口停留場=19日、宇都宮市