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食費過徴収で特別監査 障がい者施設「恵」 厚労省、改善勧告も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 入居者からの食材費の過大徴収や、報酬の不正受給の疑いが明らかになった障害者向けグループホーム大手運営会社「恵」の本社(東京都港区)に対し、厚生労働省が障害者総合支援法に基づく特別監査を実施していることが26日、分かった。関係自治体を通じた施設ごとの調査で問題が相次ぎ、全容解明が必要と判断した。厚労省は業務管理体制の改善を勧告することも視野に検討する。
 厚労省によると、特別監査は定期的に行う一般監査と異なり、不正を疑う理由がある場合に実施。武見敬三厚労相は26日の記者会見で「障害者虐待防止法の経済的虐待などにも該当する可能性がある。行政処分の対象になり得る」と述べた。
 複数の関係者によると、各施設が食材の購入に充てる費用は本社から各施設に配られており、入居者から集めた食材費より少なかったという。厚労省もこうした状況を把握しているとみられる。本社の組織や指揮系統を調べる。
 本社の担当者は取材に対し「運営に問題がなかったのかを含めて調査する」としている。
 同社は東海・関東地方を中心に12都県で、主に知的障害者や精神障害者向けのグループホームを「ふわふわ」などの名称で約120カ所運営している。厚労省は6月、同社のグループホームがある自治体に調査を要請。群馬、神奈川、愛知3県で過大徴収が判明した。このほか障害福祉や医療の報酬を不正に受け取った疑いも明らかになっている。
 群馬県では前橋市と高崎市で過大徴収があった。神奈川県では川崎市の施設が実際の食材費は入居者1人当たり月約7500円なのに約2万4千円を徴収するなどしていた。過大請求額は2021年2月~22年5月で計約435万円に上った。愛知県でも1人当たり月約8千円なのに約2万4千円を徴収した事例があった。
 障害者への経済的虐待 障害者施設の職員や事業所の雇用主らが障害年金や預貯金の使い込み、給与の未払いなど障害者から不当に財産上の利益を得る虐待。2012年に施行された障害者虐待防止法は、虐待を(1)暴力や体罰といった身体的虐待(2)暴言などの心理的虐待(3)性的虐待(4)食事を減らして衰弱させるなどのネグレクト(5)経済的虐待―に分類している。