県女性力・平和推進課は26日、「県差別のない社会づくり条例」に基づいて、10月1日から本邦外出身者(外国人)に対する差別的言動の申し出を受け付けるのを前に有識者による審議会を初開催し、事務処理方法などを確認した。10月以降、申し出や相談対応で把握した事案を差別的言動に該当するか議論した後、結果を知事に答申する。知事が公表・非公表を判断する。申し出の詳細は近日中に県ホームページ(HP)で公表する。
審議会に先立ち、委員に選ばれた河井耕治弁護士、池味エリカ弁護士、西南学院大学の奈須祐治教授(憲法)、琉球大学法科大学院矢野恵美教授(刑法)、名桜大学小川寿美子教授(異文化理解)に玉城デニー知事から委嘱状が交付された。委員からは外国ルーツのヘイトスピーチを扱うからには、申し出を多言語で受け付けるなどの要望が上がったほか、学校や職場、SNS上など差別的言動が行われる状況の違いを区別せず「ケース・バイ・ケース」で幅広く議論することを確認した。表現者への意見聴取を経て事案の公表が決まった場合、表現活動が行われた日時や場所、内容、県の対応を周知し、県民に差別的言動を容認しないよう呼びかける。
会議では条例制定後、同課に設置した窓口への人権相談件数は7~8月分で計6件だったことが報告されたが、10月1日以降は増えることが見込まれるという。
県条例は本邦外出身者を対象とした国のヘイトスピーチ解消法を基にしているため、県出身者を理由とした差別的言動の相談は受け付けるものの、審議会への申し出対象外となっている。条例は施行後3年をめどに見直しが想定されている。2024年度には「県民意識・差別の実態調査」を実施する予定で、その結果などを踏まえ、審議会で取り扱う対象を多角的に議論していくという。
(嘉陽拓也)
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