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コロナ禍、死亡者の減少につながった対応は? パンデミック時の対応検証 科学サミット


コロナ禍、死亡者の減少につながった対応は? パンデミック時の対応検証 科学サミット コロナ禍での県内や世界の動きを振り返り、科学技術を使って今後のパンデミックにどう対応するかを話す登壇者。右上から時計回りに高山義浩氏、玉城絵美氏、マヘッシュ・バンディ氏、島洋子氏=26日
この記事を書いた人 Avatar photo 玉城江梨子

 国連総会に合わせて開催中の科学サミットの日本セッションが26日、オンラインで開かれた。「パートナーシップと長寿の島・沖縄のCOVID19 離島におけるパンデミック対策と科学技術」をテーマに、県立中部病院の高山義浩医師、琉球大工学部の玉城絵美教授、沖縄科学技術大学院大学(OIST)のマヘッシュ・バンディ教授が登壇した。コロナ禍の県内・海外の動きを振り返り、パンデミック(世界的大流行)に対する科学技術の可能性などについて話し合った。セッションは琉球新報社とOISTの共催。琉球新報社の島洋子統合編集局長が進行役を務めた。(10月28日に詳報掲載)

 高山氏は、高齢者施設で感染者を確認すると24時間以内に支援に入る体制を県内で構築したことを紹介し「多職種が連携することで施設での死亡を減らすことに貢献した」と振り返った。

 一方で感染を広げないための取り組みは不十分だったと課題も挙げ「感染症は社会の脆弱(ぜいじゃく)なところを狙ってくる。私たちはそれを直視し、社会的支援を怠らないことが必要」と指摘した。

 バンディ氏は世界各地の感染の広がりをデータで紹介した。「ロックダウン(都市封鎖)をしたことで払った犠牲は大きかった。流行初期は渡航制限をかけ、その国、地域にあった対策を準備し、その後は慎重に行動することが基本になる」と話した。

 コンピューターを介して人の感覚を遠隔の他者と共有する技術を研究している玉城氏は「医療現場に導入できる新技術は多いが、社会的受容性の低さが問題となり、導入できていない」と指摘した。「政治も含めて日本全体で解決すべき問題だ」とした。

 (玉城江梨子)