8月に山火事の被害に遭った米ハワイ・マウイ島を支援するため、うるま市(中村正人市長)は6日、義援金2千万円を沖縄ハワイ協会(OHK、大城浩会長)に託した。OHKは復興支援事業「ちむぐくる・プロジェクト」として広く寄付を呼びかけており、自治体からの寄付は初めて。
戦前にハワイに移民した県系人は、沖縄戦で荒廃した郷土を憂い募金活動を展開してブタ550頭を購入し、沖縄へ送り届けた。県系人の支援は戦後復興に大きく貢献し、食文化の継承にも大きな役割を果たした。ブタを乗せた船が着いたのが勝連町(現うるま市勝連)のホワイトビーチだったことから、市では陸揚げされた9月27日を「海から豚がやってきた記念日」に制定し、史実の継承に努めている。
市はこうしたつながりを踏まえ、市議会(比嘉直人議長)の議決を経て一般財源から義援金を捻出。市議会は、市議から集めた30万円を寄付した。
6日、県庁で贈呈式が開かれ、中村市長と比嘉議長が大城OHK会長に目録を贈った。中村市長は「深い関係にあるマウイ島での大惨事に心を痛めた。(ハワイから)受けてきたご恩を返そうと思い、義援金を贈りたい」と話した。
大城会長は9月26日現在で約2千万円の義援金が集まったことや、2019年の首里城焼失でも多くの寄付がハワイから寄せられていたことを報告。うるま市に感謝しながら「県民のチムグクルによって一日でも早くマウイが復興できるよう取り組んでいきたい」と決意した。
(小波津智也)