保護のケナガネズミ けが回復し森へ帰る 交通事故が最多ペース 沖縄・東村


保護のケナガネズミ けが回復し森へ帰る 交通事故が最多ペース 沖縄・東村 事故の治療を受け、野生へと返る前のケナガネズミを見る高江小学校の児童ら=12日、東村宮城
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 【東】環境省やんばる自然保護官事務所と、NPO法人どうぶつたちの病院沖縄(長嶺隆理事長)は12日、事故に遭って治療していた国指定天然記念物ケナガネズミの成獣1匹を東村で野生に返した。同事務所のまとめによると、ケナガネズミの交通事故件数は9月18日時点で35件に上り、過去最多だった2022年を上回るペースで起こっている。事故に遭って野生へ返ることができたのは、同日に放獣した1匹だけだという。

 ケナガネズミは本島北部と奄美大島、徳之島に生息する国内最大のネズミで、放獣されたのは4月4日に東村高江の県道70号で発見されたオスの個体。通報を受けた環境省職員が保護し、どうぶつたちの病院沖縄で治療が続けられていた。搬送直後は痩せて顔に裂傷や骨折があったという。肺炎の症状もあったため、酸素吸入などを続けていた。順調に治療が続けられ、保護時に429グラムだった体重は660グラムに増えたという。

 放獣には高江小学校の児童7人も参加。ケナガネズミは5分ほどゲージの中にとどまっていたが、ゆっくりと自然へと返っていった。自然保護官事務所の石川伊智子さんは「ケナガネズミを救うには、車でゆっくり走ること。お父さん、お母さんにも伝えて」と話していた。高江小5年の荘司蓮さん(11)は「治療されて無事に返ってよかった」と話した。

 自然保護官事務所によると、事故の増加はマングース対策などが進み、餌が豊作だったことで個体数が増えたことが要因とみられる。

 (池田哲平)