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「爆音で生徒パニックに」 嘉手納爆音訴訟 中学教諭が初証言 沖縄


「爆音で生徒パニックに」 嘉手納爆音訴訟 中学教諭が初証言 沖縄 米軍嘉手納基地(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 金良 孝矢

 那覇地裁沖縄支部で12日にあった第4次嘉手納爆音訴訟の口頭弁論で、中学校で教諭を務める原告の島村一司さん(63)=沖縄市池原=が初めて証言台に立った。米軍嘉手納基地を離着陸する戦闘機の音に生徒がパニックを起こしたり、集中力が失われたりする現状を報告。「生徒を育む者として、とても歯がゆさを感じる」と憂い、安心安全な生活を求めた。

第4次嘉手納爆音訴訟の法廷で初めて証言した原告の島村一司さん=12日、沖縄市知花

 3年前まで市内中学校で校長を務め、定年退職。現在は市内の別の中学校で再任用として働く。新型コロナウイルス禍で窓を開けて授業をする際、爆音で中断することが毎日のようにあり、「集中力がそがれ学習意欲が落ちている様子が、表情から読み取れた」と指摘した。発達障がいのある生徒が爆音にパニックとなって教室を飛び出し、学校前の県道で車にひかれそうになったことも報告した。

 島村さんが小学生だった1968年、米軍嘉手納基地でB52戦略爆撃機が墜落、炎上した。校舎から黒煙が見え、「あれが家や学校に落ちていたら」と授業に身が入らなかった。基地の存在に強い恐怖を感じた。

 睡眠時無呼吸症候群で、昼間に眠気が襲うが爆音で昼寝が妨げられるなど、生活への影響は大きい。「精神的な圧迫や苦痛を受けている」として、爆音のない地域との不公平感を是正するよう司法に求めた。

 (金良孝矢)