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多良間の全村民、有事には1日かけ宮古島に一時避難 村が説明会 実効性を不安視する声も


多良間の全村民、有事には1日かけ宮古島に一時避難 村が説明会 実効性を不安視する声も 多良間村による国民保護法に基づく住民避難の説明に耳を傾ける住民ら=16日、多良間村コミュニティー施設
この記事を書いた人 Avatar photo 友寄 開

 【多良間】多良間村は16日、村コミュニティー施設で国民保護法に基づく武力攻撃事態を想定した住民避難に関する説明と意見交換会を初めて開催した。住民約40人が参加した。村の担当者は有事の際、村民1077人(2023年4月時点)を1日かけてフェリーや航空機を使用して宮古島市に一時避難させ、九州に向けて移動すると説明した。 

 説明を受けた村民からは「避難先での生活はどうなるのか」「有事を想定する前に外交努力をするべきだ」などの声が相次いだ。村は住民の意見を踏まえ、避難実施要領案を改善するとした。

 村が作成した要領案によると、波高4メートル以上などの悪天候でフェリーが港に接岸できない時は、航空機のみの移動となり2日かかるという。

 今後の検討課題として、高齢者や障がいのある人への対応や、ペットや家畜の対応、避難先との連携などを挙げた。

 説明会と意見交換会には内閣官房の担当者4人も出席した。住民からは計画の実効性を不安視する声などが上がった。参加した男性は「避難先の九州での生活はどうなるのか」と質問。担当者は「(具体的な内容については)過去の大規模災害などを例に、受け入れ方法を検討していく」と述べるにとどまった。

 村内にはヤギや牛など家畜が約4千頭いる。別の男性からは「家畜はどうするのか。避難先に連れていけるのか。ちゃんと検討してほしい」などと訴えた。「島外避難よりもシェルターが必要だ」との声もあった。

 村は12日、避難施設(シェルター)の整備計画を政府に示した。村では二つの高齢者施設を統合した複合施設の新設を計画しており、地下のシェルター整備が離島振興事業の枠内で予算化できないか話し合ったという。

(友寄開)