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「軍事利用やめて」港や公道に広がる迷彩色 自衛隊の実動演習、市民らが阻止行動 機動隊が排除 沖縄


「軍事利用やめて」港や公道に広がる迷彩色 自衛隊の実動演習、市民らが阻止行動 機動隊が排除 沖縄 自衛隊車両を座り込みで阻止する人たち=10日午前9時35分、うるま市の中城湾港ゲート付近(ジャン松元撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 金盛 文香

 【中部】自衛隊最大規模の実動演習「自衛隊統合演習」の一環で、県外から沖縄に部隊を展開する訓練が始まった10日、自衛隊車両を積んだ船が入港した中城湾港のゲート前には、訓練を阻止しようと集まった市民や、機動隊など100人近くが朝から集まった。日が高くなり汗がにじむ暑さの中、座り込んだ市民は「戦争につながる訓練やめろ」と声を上げ続けた。午前9時50分ごろ、機動隊が市民らの排除に取りかかり、自衛隊車両は中城湾港を出た。

 自衛隊車両を積んだ民間船舶「はくおう」は早朝に入港した。朝日が昇りきらないうちから市民らは続々とゲート前に集まり、マイクを使ってシュプレヒコールを上げた。自衛隊の弾薬庫等建設に反対する沖縄市民の会の仲村未央共同代表は「暮らしを支える民間施設の軍事利用が繰り返されている。危機感を力強く示そう」と団結を呼び掛けた。

 午前9時すぎ、自衛隊の車列がゲートに向かって動き出した。公道使用を阻止しようと、市民ら約60人は警備員約10人に向かい合う形でゲート前に座り込み、現場は緊迫感に包まれた。膠着(こうちゃく)状態が約30分続いた後、機動隊員ら約30人が市民らの体を持ち上げて移動し始めると「強制排除やめろ」と声が響いた。

 直海秀紀さん(75)=北中城村=は「民間施設を軍事利用するならば、住民対話が必要だ。対話なしでは許せない」と訴えた。

 自衛隊車両約50台は同9時55分ごろから、うるま市、沖縄市、那覇市に向けてゲートを出た。うるま市の勝連分屯地ゲート前では市民らが再び座り込んだ。桃原蓉子さん(89)=うるま市=は「戦前と重なる。(戦争)体験者として行動しないといけない」と思いを話した。

 (金盛文香)