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【記者解説】日本主体の調査必須 オスプレイ事故 真相究明は再発防止のための大前提


【記者解説】日本主体の調査必須 オスプレイ事故 真相究明は再発防止のための大前提 米軍のCV22オスプレイが墜落したとみられる現場海域周辺を捜索する海上保安庁の船舶=29日午後6時23分、鹿児島県・屋久島沖(共同通信社ヘリから)
この記事を書いた人 Avatar photo 沖田 有吾

 米軍横田基地所属のCV22オスプレイが屋久島沖で墜落した。原因は明らかになっていないが、事故の目撃者は「機体が突然くるくると回転しエンジンから火が噴き出した」と証言しており機体に原因がある可能性が考えられる。県外で発生した事故だがCV22は嘉手納基地へ向かう途中で墜落しており、同型機が日常的に住宅地の上を飛び交う沖縄の危険性は明らかだ。

 オスプレイを巡っては開発段階から危険性が指摘され、2012年に普天間飛行場に配備された後も墜落事故や緊急着陸が相次いだ。近年では「ハード・クラッチ・エンゲージメント(HCE)」と呼ばれる、クラッチの不具合が米軍の事故報告書で明らかになっている。

 今回の事故原因が、HCEに代表される既知の構造上の欠陥なのか未知の問題なのかは今後究明していくしかない。しかし、米軍は直近でオスプレイの緊急着陸が相次いだ時も詳細な原因などは明らかにしていない。米軍の調査結果をうのみにしては、事故の再発防止は不可能だ。日本側の主体的かつ徹底した調査、捜査が不可欠と言える。

 過去の米軍機墜落事故では、日米地位協定の壁に阻まれ、警察や海上保安庁による事情聴取や物的証拠の機体の捜査が尽くされず終結してきた経緯がある。真相の究明は、再発防止のための大前提だ。日本政府は国民の生命を守るために、真相究明まで無期限の飛行停止を米軍に強く求める必要がある。米軍も、搭乗員の命をも軽視するような早期の飛行再開は許されない。

 (沖田有吾)