有料

「いつ巻き込まれてもおかしくない」オスプレイ訓練地域の住民ら、巻き添え危機感を募る 屋久島沖墜落


「いつ巻き込まれてもおかしくない」オスプレイ訓練地域の住民ら、巻き添え危機感を募る 屋久島沖墜落 米軍キャンプ・シュワブ前で座り込み、抗議する市民ら=30日午前11時54分、名護市辺野古(金城大樹撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 鹿児島県屋久島沖で起きた墜落事故は、垂直離着陸輸送機オスプレイの危険性を改めて突きつけた。なし崩しで広がる訓練地域の住民からは、飛行中止を求める声が相次いでいる。

 久米島では7月に航空自衛隊久米島分屯基地にオスプレイが初めて飛来した。

 初飛来の時には地域住民が「静かな島を奪わないで」と基地前などで抗議の声を上げた。抗議に参加した佐久田勇さん(66)は、屋久島の墜落事故を知り「あってはならない事故だ。オスプレイは安全確保がされていないことを示すもので、今も飛行すること自体があり得ない」と憤る。

 久米島町議会では10月、久米島でのオスプレイ訓練に反対する意見書が可決された。しかし、定数14(欠員1人含む)の議会で6人が退席。4対2の賛成多数による可決だった。佐久田さんは「今回の事故で、オスプレイの問題に向き合う人が増え、久米島でも議論が深まると思いたい」と話した。

 伊江島も普天間飛行場に強行配備されたオスプレイの訓練が続く。

 伊江村西崎区の儀間五子さん(65)は「伊江島でも結構訓練している。私たちもいつ巻き込まれてもおかしくないと思った」と不安を語った。政府の対応については、「もっと踏み込んで、訓練の中止やオスプレイ配備の撤廃を米側に強く求めてほしい」と話した。

 鹿児島県奄美市では、「(着陸帯に)耐熱加工をしていないから」と自衛隊が飛来を否定していた陸上自衛隊奄美駐屯地に、昨年の日米共同統合演習からオスプレイが降り立つようになった。奄美空港への緊急着陸も相次いでいる。

 奄美ブロック護憲平和フォーラム代表の関誠之さん(71)は「うそつきは戦争の始まり」と指摘。「日米両国で決めた飛行ルートが忘れ去られ、米軍のやりたい放題になっている。このままでは沖縄も奄美も米国の捨て石にされてしまう」と危機感を口にした。
(藤村謙吾、金城大樹、南彰)