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島民の声 米決断に反映 奄美群島復帰 歴史家、地元で講演


島民の声 米決断に反映 奄美群島復帰 歴史家、地元で講演 鹿児島県奄美市で講演する、元大阪大准教授で歴史家のロバート・エルドリッヂ氏=17日午後
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 鹿児島県・奄美群島の日本復帰から70年となるのに合わせ、米国政府が返還を決断した背景を研究する元大阪大准教授で歴史家のロバート・エルドリッヂ氏が17日、奄美大島で地元住民向け講演会を開いた。返還が実現した理由について「復帰を望む島民の声が米国(の政策決定)に反映されたため」と分析した。
 日米双方で公開された公文書や、当時の米政府関係者の証言を基に復帰の経過を解説した。復帰運動は、ハンガーストライキなど「組織的で穏健に展開」。島民だけでなく、当時の鹿児島県知事や県民の多くに支持が広がった。
 米国内では当初、軍が統治継続を主張していたものの、運動の拡大を踏まえてアイゼンハワー大統領が返還を決断するに至ったと語った。一方、当時の政府も「運動があったから対米交渉ができた」と分析。住民の運動が日本の外交力を強化したとの見方を示した。