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手紙値上げ110円に 日本郵便 はがきは85円 来秋にも


手紙値上げ110円に 日本郵便 はがきは85円 来秋にも 主な郵便料金の推移
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 総務省は18日、手紙(25グラム以下の定形郵便物)の郵便料金の上限を84円から110円に引き上げる省令の改正案を審議会に示した。郵便物の減少や人件費、燃料費などの経費高騰で郵便事業が赤字となっていた。改正を経て、日本郵便は来年秋にも消費税増税時を除き1994年以来、30年ぶりに値上げするが、赤字の解消は一時的で追加の料金引き上げも視野に入れる。手紙に加えて省令改正が必要ない、はがきも63円から85円となり、双方3割を超える値上げとなる。
  (5面に関連)
 50グラム以下の手紙は94円から110円にするほか、定形外郵便物などは3割の値上げを検討している。レターパックや速達などは、利用者の利便性の観点から値上げ率を抑制する。新聞や学術刊行物といった第3種郵便物や第4種郵便物、今年10月に値上げした、ゆうパックや現金書留の料金は据え置く。
 総務省によると、郵便物は2001年度の263億通をピークに毎年減少。22年度は144億通と、ほぼ半減し、郵便事業は07年の郵政民営化後初めてとなる211億円の赤字に転落した。
 今回料金を引き上げると25年度は黒字になるが、26年度以降は再び赤字に転落する見込みで、短期間での再値上げも想定しているという。郵便事業を維持するため、抜本的な改革が求められそうだ。
 日本郵便はこれまで、手紙などの郵便物の土曜日配達廃止といった業務効率化や、ヤマト運輸が扱う小型荷物の配達受託など収入源の拡大を図った。しかし今後も郵便物は減ると予想しており、経営環境は厳しさを増すばかりだ。
 手紙の料金は94年に郵便事業の赤字が膨らみ62円から80円に改定した。その後は増税に伴い2014年に82円、19年には84円に値上げした。
 総務省は今後、意見募集などを経て来年6月にも省令改正し、日本郵便が正式に料金改定の届け出をして値上げする。