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「還流」領収書受領拒否 安倍派事務方 裏金存在隠しか


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件で、安倍派(清和政策研究会)の事務方がパーティー券の販売ノルマ超過分を還流した際、議員側が発行しようとした領収書の受領を拒否したケースがあったことが20日、関係者への取材で分かった。政治資金収支報告書に還流分を記載させず、裏金の存在を隠すためだったとみられる。東京地検特捜部は、派閥が主導して「裏金化」を進めたとみて捜査している。 (3面に関連)
 安倍派の会計責任者が還流のやり方を前任者から引き継いだとみられることも判明。2017年の収支報告書まで担当した前任者は、議員側から「還流分を(自身の関係団体の)収支報告書に記載したい」と相談されても、不要だと伝えていたという。18年の収支報告書から担当した現在の会計責任者も議員側に同じ説明をしていたとされる。特捜部は、還流システムが構築された経緯も調べるもようだ。
 関係者によると、安倍派の事務方は還流分を議員側に現金で手渡しし「自由に使っていい」と説明していたという。その際、受領を示す書面を書かせる一方、議員側が「収支報告書に記載したいので領収書を出したい」と申し出ても断っていたという。受領を示す書面は、派閥側の記録として残すためだったとみられる。
 会計責任者は特捜部の任意聴取に、こうした手法を説明し、不記載を認める供述をしている。
 特捜部は政治資金規正法違反(不記載など)の疑いで会計責任者の立件を検討。派閥内の指揮系統を調べるため、実務を取り仕切った事務総長らも聴取する。還流分を受領した議員らへの聴取も進めており、不記載の認識を確認する。
 特捜部は19日、安倍派と二階派(志帥会)の事務所を家宅捜索した。両派とも議員側が販売ノルマを超えて集めた分を、収支報告書の収入に記載せず議員側に還流。安倍派では支出にも記載せず、受領した議員側も収入として書いていなかった。