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抗議の声「止めない」 名護出身・渡具知和紀さん(21)、和奏さん(21) 「負けないことが勝つ方法」 ろうそく手に基地反対


抗議の声「止めない」 名護出身・渡具知和紀さん(21)、和奏さん(21) 「負けないことが勝つ方法」 ろうそく手に基地反対 「これからもできることを続けていく」と話す渡具知和紀さん(左)と和奏さん姉妹 =28日、名護市瀬嵩
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 【名護】名護市瀬嵩出身で双子の渡具知和(かず)紀(き)さん(21)=宜野湾市、大学4年=と和奏(わかな)さん(21)=大阪府、同4年=は、2歳の頃から毎週土曜日の夕方、名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブゲート前でろうそくを手に基地反対を訴える抗議「ピースキャンドル」を両親と続けてきた。辺野古新基地建設を巡って国は28日、代執行に踏み切った。物心が付く前から辺野古問題で揺れる地元。和紀さんは「政府の言う『寄り添う』とは何なのか。いま一度、考えてほしい」と静かに憤る。
 和紀さんは沖縄国際大学への進学を機に宜野湾に住み、普天間基地をより身近に感じるようになった。「騒音で眠れないこともあった。普天間の人が基地を早く移設してほしいと願う気持ちも分かる」と言うが、「辺野古に移設したら、今度は辺野古住民が被害に遭う。ベストは普天間も辺野古も撤廃することだ」。
 大阪の大学に進学した和奏さん。オスプレイの飛ばない空や基地のない生活、そしてニュースでも基地問題はめったに報道されない。沖縄と本土の基地問題に対する熱量の差を実感するという。「これまでなんで分かってくれないのと思っていたけど、実際に生活してみて分かった感じがした」と話す。
 「平和な世紀を作る子」「平和を奏でる子」。両親のそんな思いから名付けられた和紀さんと和奏さん。ピースキャンドルを続ける中で、くじけそうになった時もあった。道行く人からブーイングを受け和紀さんは「間違ってるのかな、やる意味あるのかなと思った時もある」と振り返る。だが平和な未来のため、自然豊かな地元の大浦湾を守るため「自分がやってきたことは間違いなんかじゃない」と信念を持ち活動を続けてきた。
 年明け以降、大浦湾側で埋め立て工事が進む予定だが、和紀さんは「負けないことが勝つ方法。手を止めない限り負けることはない」、和奏さんは「本土の人にも関心を持ってもらえるように、私たちができることをこれからも続けていく」と前を向く。2人はユーチューブなどで若者や県外の人に基地問題への関心を持ってもらえるよう試行錯誤を続ける。両親の思いも胸に、これからも平和への歩みは止めない。 (金城大樹)