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焼け野原 道路寸断 津波の猛威、船転覆 一夜明け爪痕無数


焼け野原 道路寸断 津波の猛威、船転覆 一夜明け爪痕無数 ひび割れて亀裂が入った道路=2日午前8時41分、石川県穴水町(共同通信社ヘリから)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 海岸沿いの多数の建物は津波に押し流され、流れ込んだ土砂で海は茶色に染まった。強い揺れが起きた町中では住宅や店舗が各地で倒壊し、地崩れに巻き込まれた車も。所々で白煙が上がり、大規模火災が発生した現場では早朝になってもまだ炎が立ち上っていた。震度7を観測した能登半島地震から一夜明けた2日、大地震の爪痕が無数に刻まれた石川県内の被災地をヘリコプターや航空機から取材した。
 能登半島先端の珠洲市。避難者らのものとみられる多くの車が集まった金沢大の施設前では、椅子などを並べて「SOS」の文字が作られていた。津波が到達した海岸沿いは大小多くの船が転覆したり、打ち上げられたりしていて、地面がえぐられた場所も。広範囲で家屋がつぶれ、道路は寸断。ひびが複数入った橋を慎重に渡る人の姿もあった。
 隣接する能登町の沿岸部も津波の猛威が目立つ。1階部分が浸水したり、壁がなくなったりしている住宅が多くあった。引き波で海岸まで流されたとみられる住宅の残骸や、港から川を数百メートルさかのぼったところに
泊まっている船もあった。
 能登町の南、穴水町周辺は揺れの被害が深刻だった。道路や橋がうねり、長さ数十メートルに及ぶ地割れも。特に金沢市と能登半島を結ぶ自動車専用道路「のと里山海道」は被害が大きく、小さな橋が落ちたり、路面が粉々になったりしていた。七尾市の能登島につながる2本の橋は損傷し、進入できないようバリケードが置かれた場所もあった。
 大規模火災が発生した輪島市の観光名所、輪島朝市周辺。午前8時ごろも白煙が幅100メートル以上にわたって立ち上り、海のある北側に流れ、炎も残っていた。市立輪島中学校のグラウンドには大きな亀裂が何重にも入り、段差ができていた。倒壊したビル脇では救助活動に当たる消防車両が見られた。
 金沢市の山あいの住宅街では、高台の斜面が広範囲に地崩れを起こし、複数の住宅が転がり落ちていた。車も土砂やがれきに埋もれていた。
ひび割れて亀裂が入った道路=2日午前8時41分、石川県穴水町(共同通信社ヘリから)