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管制、表示見落としか 機体進入時に「注意」機能 羽田衝突炎上


管制、表示見落としか 機体進入時に「注意」機能 羽田衝突炎上 羽田空港の滑走路で進む日航機の撤去作業=5日午後
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 羽田空港C滑走路で日航と海上保安庁の航空機が衝突した事故で、着陸機が接近する滑走路に別の機体が進入した場合に注意喚起する機能があり、正常に作動していたことが5日、国土交通省への取材で分かった。進入を検知すると管制塔の画面上で滑走路が黄色に点滅し、航空機が赤色に表示される。海保機は滑走路への進入後約40秒間停止していたとみられ、管制官が表示を見落としていた可能性が出てきた。
 国交省は海保機に進入を許可していなかったと説明。日航機のパイロットが「海保機は視認できなかった」としており、背景にヒューマンエラーを含む複数の要因が重なっていた疑いが浮上した。運輸安全委員会や警視庁が詳しく調べる。
 斉藤鉄夫国交相は注意喚起表示を常時監視する人員を6日から配置すると明らかにした。これを柱とする緊急対策を連休明けにも公表する方針。
 海保機の撤去作業は5日に完了。日航機の作業は続き、一時黒煙が上がった。斉藤氏は8日にC滑走路の運用を再開する見込みだと明らかにした。
 安全委によると、3日に日航機のフライトレコーダー(飛行記録装置)が見つかった。
 警視庁は、事故で死亡した海保機の副機長田原信幸さん(41)と整備員加藤重亮さん(56)の遺体を司法解剖し、死因は外部からの衝撃による全身挫滅だったと明らかにした。残る3人は6日に実施する予定。
 国交省によると、2007年に国内で滑走路への誤進入が相次いで発生。対策検討会議で議論し、08年3月の取りまとめで管制官の人的ミスを防ぐためのバックアップとして「滑走路占有監視支援機能」の整備促進が盛り込まれた。羽田では4本の滑走路全てで11年3月までに運用を始めた。
 従来のレーダーでは建物の陰に入ったり、雨が降ったりすることで、航空機の位置を正確に把握することが難しかった。新たなシステムでは、より精密に位置を特定できるようになった。管制官は目視と表示装置で航空機を確認する。