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福島被害継承へ 記録活用を議論 自治体が事例報告


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 東日本大震災の記録や震災前の地域文化の継承を目指し「震災アーカイブ」の活用を議論するシンポジウムが8日、仙台市で開かれた。東京電力福島第1原発事故で被災し、人口減少が著しい福島県の自治体関係者らが事例を報告。「(事故後に)新しく住民になった人も巻き込み、土地の記憶をつないでいくことが大切だ」と強調した。
 同県双葉町の橋本靖治総務課長は、津波で被災した消防車や、原発事故直後の東電からの連絡メモを保存し、伝承施設で公開していると紹介。「廃棄されるがれきにも、震災の痕跡を残す資料価値がある」と述べた。
 富岡町に開館した「とみおかアーカイブ・ミュージアム」では、事故による全町避難などの記録と町の歴史を同時に展示している。運営に携わる職員は「町民が語れる場を用意することが、今後のまちづくりにも重要だ」と話した。
 大熊町教育委員会の学芸員は、文化財レスキューで個人宅などから収集した千件以上の古文書などについて、保全環境の確保に苦労していると報告。資料の活用や解説員らの人材育成が課題だとする意見も出た。