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不当な圧力、許されない


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 外国人技能実習生が、採用を仲介する母国の送り出し機関から勧められ、避妊処置をしていたことが分かった。「妊娠したら帰国」と言って処置を勧められていることも判明。「応じなければ日本に行けないと思った」と、事実上の圧力と受け止めた女性もいた。倫理的にも、法的にも認められない行為だ。
 子どもを産むかどうかや、いつ、何人産むかを自分で決める「リプロダクティブ権」の尊重は世界的な潮流だ。国連が掲げる行動目標「持続可能な開発目標(SDGs)」でも保障が求められている。外国人労働者だからといって自己決定権を侵害するような事態がまかり通れば、受け入れ側である日本の人権意識の希薄さを国際社会に露呈することになる。
 妊娠を理由に解雇するなど実習生に対するマタニティーハラスメントは以前から問題視されてきたが、避妊処置の発覚はその根深さを示した。人権を守る実質的な対応が求められている。