名護市辺野古の新基地建設に向けた設計変更申請で、県による不承認処分を国土交通相が取り消した裁決は違法だとして、辺野古周辺の住民らが裁決の取り消しを求めた抗告訴訟の第6回口頭弁論が23日、那覇地裁(福渡裕貴裁判長)で開かれた。住民らと国の主張は出尽くした一方、福渡裁判長は「記録を精査したい」として結審せず、次回期日を3月5日に設定した。閉廷後、住民側の川津知大弁護士は「裁判所が判決の引き延ばしをやっているなと(感じる)。代執行訴訟の上告審の判決を待っているのではないか」といぶかしんだ。
23日の弁論では市汀間に住む原告の松田藤子さん(83)が意見陳述した。集落前に広がる大浦湾が癒やしだが、基地建設が進む様子に、「悔しさで心の中はいつもマグマがうずまく」と声を震わせた。沖縄戦で父を亡くしたことなどから「戦争を誘発する新たな基地建設を許すわけにはいかない」と訴え、裁判所に「公正な判断を」と求めた。
住民側の白充(ペクチュン)弁護士は、提出書面の要旨を陳述した。昨年10月の前回弁論で結審を見越した一方、裁判所の要望で追加書面を出したと指摘。その間に国が承認を代執行したことから、裁判所が住民らの訴えを却下するのであれば、「原告らにとってあえて不利益になるような訴訟指揮をしたと批判されるのは必至だ」とくぎを刺した。
国側の代理人は、住民側の主張に反論しない考えを示した。福渡裁判長は「記録を精査し、(裁判所が求める)釈明点がなければ次回に結審の可能性がある」と述べた。
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辺野古住民訴訟 結審せず 那覇地裁「記録精査したい」
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琉球新報朝刊