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非正規給与上げ「作業が煩雑」 沖縄15市町村、遡及せず


非正規給与上げ「作業が煩雑」 沖縄15市町村、遡及せず
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 人事院と県人事委員会の給与改定勧告に基づく自治体職員の給与引き上げについて、非正規の会計年度任用職員は給与計算を管理するシステム上の問題などで「作業が煩雑」になることから適用しない沖縄県内自治体があることが25日までに琉球新報の聞き取り調査で判明した。県内41市町村のうち「遡及(そきゅう)適用できない」と回答したのは15自治体あった。

 正規職員は給与改定を昨年4月にさかのぼって実施されている。遡及適用しない自治体の多くも24年度からは非正規を含めて給与改定するが、23年度中に支給されるはずだった十数万円の給与がもらえない人もいる。

 識者は「役所の正規と非正規の格差は昔からあるが、今回の遡及を巡る問題は格差が是正されていないことの表れだ」と指摘した。

 国は昨年5月に会計年度任用職員の給与も遡及改定することを各自治体に通知した。

 1700人超の会計年度任用職員がいる那覇市は、今年1月から任用職員の給与を引き上げるための条例改正案を開会中の市議会臨時会に提出したが、昨年4月から12月分にかけては「遡及は困難」との見解を示す。

 理由について市は「任用職員はさまざまな給与形態、勤務形態で給与計算が複雑なため、現行システムでは遡及に対応していない」とした。一方、業者側との交渉を続けており、システム改修が実現すれば遡及する。

 県知事部局、県教育庁、県警と市町村含む27団体が遡及適用できると回答した。システム上、難しい場合でも職員が手作業で改定額を計算した。約430人の会計年度任用職員がいる宜野湾市はシステムを用いた給与計算はできなかったが、エクセルにデータを落とし込んで計算した。担当者は「12月の支払いに間に合わせるために昨年11月中旬から2~3週間かけて作業した」と述べた。

(梅田正覚、吉田健一)

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