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「なぜ正規だけ・・」「格差ますます広がる」給与の遡及なしに悲痛な声 会計年度任用職員 沖縄15市町村


「なぜ正規だけ・・」「格差ますます広がる」給与の遡及なしに悲痛な声 会計年度任用職員 沖縄15市町村 生活が厳しく「昨年10月から仕事を掛け持ちしている」と語る那覇市の会計年度任用職員の女性=25日、那覇市役所
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 沖縄県や市町村で働く会計年度任用職員の給与引き上げに伴う遡及(そきゅう)支給を巡って、自治体によって対応にばらつきがあることが本紙アンケートで分かった。遡及がない市町村の任用職員からは「職員との格差がますます広がる」「なぜ正規職員だけ遡及するのか」などと怒りや不満の声を上げる。

 「面倒くさいと思っているだけでは」。14年前から那覇市の非正規職員として働く50代の女性はため息をつく。物価高のあおりを受け、女性は昨年10月から飲食店での深夜勤のアルバイトを始めた。市の給与は手取りで月13万円程度。「生活は厳しい。総務省からの通知があったときは遡及されると喜んだのに…」と肩を落とす。

 那覇市の会計年度任用職員は1700人超。1月からの1人当たりの給与引き上げ額は月額平均7670円程度となっており、仮に遡及となれば、単純計算で一人当たり平均6万9千円(昨年4~12月分)が支給される。

 「遡及は困難」との姿勢を示す市に対して市議会では多くの議員が反発する。25日の予算決算常任委員会では、会派の一部が1月以降の任用職員の給与引き上げに必要な補正予算案の採決の際に退席し、委員会は定足数に達せず散会した。退席した議員の一人は「給与の引き上げには誰も反対しない。ただ(4~12月分の給与を)遡及しない市の対応を認めるわけにはいかない。市がやる気を出せばできるはずで、市の努力不足だ」と批判する。一方、市の幹部は「遡及を諦めてはいない。同じ職場の仲間として業者との交渉を続けたい」と語り、引き続き業者側にシステム改修を求めていく考えを示した。

 不満の声はほかの市町村からも相次ぐ。うるま市で会計年度任用職員として働く女性(47)は「正規職員と仕事の差はほとんどないのに、会計任用の給与は後回しにされている」と不満を口にした。

(吉田健一、金盛文香)