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自治体の非正規4000人が受け取れず 給与改定「遡及せず」年間で数千~十数万円も 沖縄


自治体の非正規4000人が受け取れず 給与改定「遡及せず」年間で数千~十数万円も 沖縄 「会計年度任用職員・非常勤職員報酬明細書」を手にする職員(資料写真)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 給与の引き上げ改定が一部自治体の会計年度任用職員にはさかのぼって適用されないことが判明した。琉球新報の聞き取りでは県知事部局と県教育庁、県警と全41市町村の首長部局には約1万1440人の会計年度任用職員が雇用されている。「遡及(そきゅう)適用しない」と回答した15市町村の会計年度任用職員数はこのうち約4千人で35%を占める。

 これらの人々が1人当たり年間数千円から十数万円の改定給与を受け取れないことになる。不公平な立場に置かれている非正規職員の待遇の実態が浮き彫りとなった。

 システム上の問題で遡及適用ができないとしてる豊見城市は早ければ23年度中か24年度から給与改定をする。担当者は「遡及するとなると人力で作業しないといけなくなり難しい。ただ、できる限りの対応はしていく」と述べた。

 多くの自治体ではシステム改修を進めるが、本年度で退職する職員には支給されないことになる。また、給与改定の遡及はフルタイム勤務に限って実施する自治体もある。南大東村はフルタイムの会計年度任用職員には1人当たり月額平均1万2千円を遡及して支給するが、パートタイムには実施しない。パートは来年度から給与改定をするか検討中とした。

 非正規職員の待遇改善は全国的な課題となっており、ボーナスを拡充する改正地方自治法が昨年成立した。改正によって期末手当に加え、勤勉手当も支給できる。

 琉球新報の聞き取りに、県内のほとんどの自治体が24年度から会計年度任用職員に勤勉手当を支給すると回答した。南大東村は「検討中」、伊平屋村は「25年度からの施行を目指している」と説明した。

(梅田正覚)

 地方公務員の給与改定 毎年夏から秋にかけて人事院勧告や都道府県人事委員会勧告に基づき給与改定が検討される。都道府県では人事委員会が国の人事院勧告を参考に、市町村は国や県の勧告を参考にして給与改定を検討する。勧告は正規職員にとどまらず、非正規職員の待遇にも及ぶ。