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ひとり親の「キャリア形成」を困難にするものとは 秋吉晴子・しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄代表


ひとり親の「キャリア形成」を困難にするものとは 秋吉晴子・しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄代表
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 本アンケートはしんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄のメルマガ会員を対象にしている。回答者は未就学児(約25%)、小学生(約60%)のいる家庭が多く、9割は働いているが、正社員の割合が24%程度とこれまでの県の調査と比べてかなり低い。また児童扶養手当を86%が受給していることから、ひとり親の中でも困窮世帯が多い。

 小学生までの子がいる世帯では、子どもの送り迎えや世話があるため、離婚後に就職・転職する際、正社員よりも、時間の融通がききやすいパートやアルバイトを選ばざるを得ない状況がある。子どもを育てるために今できる仕事を選ぶことになるため、自身の中長期的なキャリア形成という視点で仕事を選んだり、準備したりすることが難しい。

 当団体が昨年6月に実施した調査では「収入を上げたり、スキルアップを目指したりするために何か始めたいか?」の問いに「始めたい気持ちはあるが余裕がない」と答えた人が55%と最多で「チャンスがあればすぐにでも始めたい」(40%)を上回った。安定した雇用は、すべてのひとり親が望んでいる。

 当団体では3年前から県内外のIT企業と共同で13人のシングルマザーの就労事業に携わっている。昨年春からは、居場所の中で、離婚後に接客のアルバイトを続けているシングルマザーの方にパソコンを貸与し、デジタルスキル習得と資格取得のサポートをしている。このスキルがあればどのような仕事ができるか、職種、業種、給与まで具体的に伝え、最後まで一緒に走ることを決めている。やる気が膨らんで行動につながるのは、ひとり親の苦労を共に経験し本音で話せる人々に囲まれ、相談ができる環境があるからだ。

 1人で子育てや仕事に奮闘し余力がないひとり親が、新しいスキルを学ぶという場は負担が大きい。だからこそ一人一人に向き合い、丁寧にサポートを続けていかなければならない。

 (総評)