「コメ買えなかった」6割 ひとり親世帯に物価高が直撃 困窮傾向の実態浮き彫りに ひとり親アンケート調査


「コメ買えなかった」6割 ひとり親世帯に物価高が直撃 困窮傾向の実態浮き彫りに ひとり親アンケート調査 サイフ(イメージ)
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 ひとり親世帯の当事者らでつくるしんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄(秋吉晴子代表)と琉球新報社は合同で昨年12月、同団体のメルマガ会員を対象に物価高がひとり親家庭に与える影響に関するアンケートを実施した。1年前に比べて物価が「かなり上がった」と感じる人が93. 0%にのぼり、生活に「ゆとりがなくなった」との回答も77. 5%を占めるなど、困窮傾向にあるひとり親世帯の家計を物価高が直撃している実態が浮かび上がった。

 約6割が経済的な理由で米など主食を買えず、7割が子どもの必要な服や靴を買えない経験をしていた。「親だけでなく子の生活水準まで下げざるを得ない」「働けど働けど(金が)足りない」など切実な声が相次いだ。

 昨年12月27~31日に同団体のメルマガ会員約830人に昨年9~11月の暮らし向きについて尋ね、県内在住のシングルマザーらひとり親200人から回答があった。

 同団体が実施した前回調査(2022年11月)と比較すると、仕事での収入が額面15万円未満の割合は昨年69.8%から61%と8.8ポイント減少した。収入を階層別に見ると12万5千~15万円が最多の18.0%を占めた。

 前回調査は10万~12万5千円が最多だったため、ボリューム層が上の階層に移行し、収入増の傾向が見られた。一方、77.5%が昨年比で暮らし向きにゆとりがなくなったと回答。賃金増が物価高騰に追いついていない。

 経済的理由で米が買えなかった経験を尋ねると、45.5%が「ときどきあった」(前回調査38.9%)、15.0%が「よくあった」(同9.0%)と回答した。子どもが必要とする服や靴が買えなかった経験も「よくあった」「ときどきあった」を合わせて72・5%(同68.4%)に上った。

 支出を抑えるために、冷房を使わないようにする(67.5%)、入浴回数を減らす(35.0%)、子どもに小さくなった靴で我慢させる(25.0%)、トイレを流す回数を減らす(22.5%)との回答もあった。

 秋吉代表は「子どもは家計に余裕がないことを分かっているし、親は子どもに我慢を強いてしまっていることを申し訳なく思っている。子どもとの時間か、お金かの二者択一ではない就労サポートが必要だ」と指摘した。
 (熊谷樹)

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