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通帳の残高は3円 非正規、月給9万円 子ども3人、40代のシングルマザー 物価高が追い打ち ひとり親アンケート調査


通帳の残高は3円 非正規、月給9万円 子ども3人、40代のシングルマザー 物価高が追い打ち ひとり親アンケート調査
この記事を書いた人 Avatar photo 古堅一樹

 しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄(秋吉晴子代表)と琉球新報社が合同で実施したアンケートからは、経済的に厳しい傾向が強いひとり親家庭に、物価高が追い打ちをかける状況が浮かび上がった。当事者からは、子育てをしやすい社会環境の整備を求める声が上がった。支援に携わってきた関係者は、シングルマザーは1人で子育てや仕事をこなし、余力がない中、丁寧な支援が求められることを指摘する。

 一昨年の暮れ、ATMで記帳した通帳を見て目を疑った。「残高が3円しかない。倒れそうになった」。本島南部で幼い子ども3人を育てるシングルマザーの女性(42)は、こう振り返る。貯金が底を突きそうになる経験をしながら、やりくりしてきた。「家計が厳しくなり、スーパーで買い物する時は、ストレスで体調が悪くなることもあった」と明かす。

 小3、小1、5歳の男児3人を育てる。元夫の不倫を理由に離婚したのは約5年前。3人目の子どもを出産して間もない時期だった。収入は安定せず「不安な毎日」を過ごしてきた。

 離婚に反対した実母との関係も一時悪化した。身内にも子育ての助けを借りられない時期があり、精神的にもかなり追いつめられた。そんな中でも、ひとり親らを支援する団体のサポートや、他の母親たちとつながりを得たことで、何とか持ちこたえてきた。

 飲料メーカーの販売員や企業・団体の事務などの職を勤めてきたが、いずれも非正規雇用。夕方には子どもたちを学校や保育園から迎えるため、残業は難しい。

 「何より子どもたちとの時間を楽しみたい。自分がそばにいてあげたい」と思いを語る。

 直近の月給は9万円。これに養育費や児童扶養手当などを加えても、家計は赤字だ。家族4人分の生活費、学童保育費、交通費などは値上がりする支出も多い上に、車や洗濯機のローンも重なり、苦しさは増す。

幼い子ども3人を育て、家計の赤字が続く中で、一時は残高が3円になったこともある女性の通帳(本人提供)(画像を一部加工しています)

 賃金は上がらず苦しい家計に、物価の高騰が拍車をかける。物価高の影響を聞いた今回のアンケートに「自分の食事の量や回数を減らした」「入浴(シャワー)の回数を減らした」ことなどを回答した。「米を買えず、そうめんだけで過ごしたこともある」と言う。家賃や電気代、ガス代なども滞納せざるを得ない状況も経験した。

 子どもが成長し、靴のサイズが合わなくなっても買い替えられない状況。それでも、子どもたちも遠慮して自分からは新品を買ってほしいとは言わない。

 収入増を目的に、ひとり親のスキルアップを支援する講座の情報は知っているが、現在の環境では仕事や子育てで精いっぱい。受講する時間の確保は難しいと感じる。

 女性は「ぜいたくなく、幼い子を3人必死に育ててきた。貧しくても子どもたちの笑顔を見たい。もっと子育てしやすい世の中になってほしい」と心から願った。
 (古堅一樹)

アンケートの結果

「コメ買えなかった」6割 ひとり親世帯に物価高が直撃 困窮傾向の実態浮き彫りに ひとり親アンケート調査

 ひとり親世帯の当事者らでつくるしんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄(秋吉晴子代表)と琉球新報社は合同で昨年12月、同団体のメルマガ会員を対象に物価高がひとり親家庭 …