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「沖縄愛あふれていた」 音楽関係者ら悼む声


「沖縄愛あふれていた」 音楽関係者ら悼む声 120人の合唱団と「長崎の鐘」を披露する泉恵得(右手前)=2019年11月24日、沖縄市民会館(資料写真)
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 声楽家の泉惠得さんは石垣島出身の音楽家・宮良長包の作品継承や普及活動などに尽力してきた。来月にもリサイタルなどコンサートの開催を予定していた最中の突然の訃報に、舞台作りを共にしてきた声楽家や作曲家、同郷の音楽家は驚き追悼の言葉を寄せた。

 泉さんと同じうるま市の平安座島出身の音楽家・海勢頭豊さん(80)は「平安座んちゅの誇りでもあった。彼の歌が聞けないとなると寂しくなるね」と声を落とした。創作オペラなどの舞台で共演したテノール歌手で友人の知花賢招(かつあき)さん(74)は「まさかという感じで頭の中が整理できていない。考え方の違いからぶつかったこともあったが、自分が持っていない音楽性があった。意識し合い切磋琢磨(せっさたくま)する存在だった」と悲しんだ。

 2021年に上演された琉球舞踊組曲「船乗りのジルー」の公演で、泉さんが作曲した音楽を編曲した作曲家の新垣雄(かつし)さん(52)は「沖縄愛にあふれる方で、晩年は特に沖縄のメロディーや旋律を入れたいという思いが強かった気がする。『また何かやろうよ』と言われ、楽しみにしていた」と惜しんだ。

 (田中芳)