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沖縄県内の猫殺処分、年々減少 室内飼育、繁殖防止進む


沖縄県内の猫殺処分、年々減少 室内飼育、繁殖防止進む
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

県内の猫の殺処分数が減少傾向にある。県や那覇市から環境省に報告された統計によると、2009年の4531頭から22年には203頭にまで減少した。不幸な命を少しでも減らそうと、市民ボランティアや行政による取り組みが進められている。県動物愛護管理センターの森河隆史所長によると、室内飼育の推進や、野良猫の繁殖を防ぐために、ボランティアらによるTNR(避妊去勢手術)が進められてきたこと、2012年の動物愛護法の改正に伴う国会付帯決議により、都道府県などの愛護センターが市町村からの駆除目的の引き取りを断れるようになったことなどが背景にあるという。

殺処分数は県動物愛護管理センターと那覇市分の合計で、環境省のホームページに公表されている頭数を琉球新報が合計。那覇市分は2013年度以降。

猫は繁殖力が強く、沖縄のように温暖な気候では、年に2、3回繁殖が可能なため増えやすい。TNRは猫の不快な鳴き声やマーキング臭の軽減につながるとされる。

殺処分を減らすため、県は同管理センターに収容された猫をできる限り長く収容して譲渡や返還につなげるよう務めている。22年から稼働した譲渡推進棟では、譲渡講習会やトレーニング教室などが開かれている。

中核市である那覇市は昨年3月、人と猫との共生を目指す「なはねこガイドライン」をつくり、飼い主に完全室内飼育や命を終えるまで育てるよう求めている。野良猫については、繁殖やふん尿被害を防ぐため、市民ボランティアらの協力を得てTNRを施し、これ以上繁殖しないよう努めている。屋外に住み着いたままなら一代限りの命を見守り、段階的に減らす方針だ。

市は昨年、ガイドラインに基づいてなはねこサポーターを委嘱した。現在、市内32地域に47人のサポーターがおり、場所と時間を決めて野良猫にえさを与えたり、残り物を片づけたり排せつ物を清掃したりするほか、TNRの支援を担う。

市環境衛生課の宮城安伸課長は「野良猫がかわいそうだとえさを与える人がいる一方で、ふん尿被害に困っている人もいる。市民とともに野良猫を『管理』することで、苦情を減らし、人と猫とが共生する社会の実現につなげたい」と話した。
(慶田城七瀬、高江洲洋子)