沖縄国際大学南島文化研究所は21日、琉球と中国の関係を研究する若手研究者に贈る「第28回窪徳忠(くぼのりただ)琉中関係研究奨励賞」に、同大准教授の我部大和(ひろちか)さん(34)を選んだと発表した。中国の冊封使が組踊を鑑賞する際に琉球側が用意した内容解説の資料「演戯故事(えんぎこじ)」に関する研究などが評価された。
我部さんは尚家文書内の「演戯故事」を現在の組踊台本などと比較検討し、「演戯故事」が組踊で描かれる儒教的要素を強調していることなどを明らかにした。我部さんは「中国からもたらされた儒教が琉球でちゃんと広まっていると冊封使にアピールしたのではないか」と指摘した。
我部さんは、琉球の進貢使節が北京で鑑賞した「灯戯(とうぎ)」(ちょうちんを持った人の隊形で文字をかたどるアトラクション)などの内容も、中国と琉球の史料から明らかにした。
同賞は2021、22年度は該当者がなく3年ぶりの選出となった。
(伊佐尚記)