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【識者】声上げる人への脅し 南城市長がSNSでセクハラ被害者情報を暴露 喜納育江・琉球大学教授


【識者】声上げる人への脅し 南城市長がSNSでセクハラ被害者情報を暴露 喜納育江・琉球大学教授
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

自分を被害者と主張したい投稿のようだが、自己保身のための感情的な行為で相手のプライバシーまで公の目にさらしている。狭い沖縄では被害を訴えている女性を特定されかねない行為で、人権問題だ。市長としての親しみやすさは大事だが、品格ある言動をすべきである。

係争中なら法廷の場で事実関係が全て明らかになるまで沈黙を貫くべきだ。市長という特権的地位にある者が、それ以外で口を開くとデマゴーグ(虚偽発言で市民を煽(あお)り、支持を取り付ける政治家)になる場合もある。支持者も市長に煽られるばかりではなく、もう少し冷静になっていろいろな視点から考えてほしい。

軽はずみな行為で、セクハラ疑惑を政治的な問題にまで発展させている。自分の行為を問うのではなく、保身のために自分本位の物語を新たに作ってすり替えていて、セクハラ自体への争点が非常に薄くなってしまう。まずは、自分の行為に不備がなかったか問い直してほしい。

もしこれから勇気を出して声を上げようとする人がいるならば、この投稿は脅しになる。秘密を守ってアンケートをやったところで「匿名のものは信用できない」「策略だ」といった物語にすり替えられる恐れがある。(米文学・ジェンダー研究) (談)