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広島市長の教育勅語使用抗議 実現させる会 「爾臣民」引用は許せぬ


広島市長の教育勅語使用抗議 実現させる会 「爾臣民」引用は許せぬ 広島市長の教育勅語引用に、抗議声明を発表する9・29県民大会決議を実現させる会の仲西春雅会長(中央)ら=4日、県庁記者クラブ
この記事を書いた人 Avatar photo 沖田 有吾

 9・29県民大会決議を実現させる会(仲西春雅会長)は4日、県庁記者クラブで会見を開き、広島市の松井一実市長が新任の職員研修で戦前の「教育勅語」を使用していることに抗議する声明を発表した。同日、松井氏宛に郵送した。松井氏は、市長就任の翌2012年から、研修で教育勅語の一部を使ってきた。

 実現させる会の抗議声明では、特に松井氏が「爾(なんじ)臣民」という言葉を引用したことに「主権在民をうたう現憲法の精神とは相いれない概念」と批判した。沖縄は国内での差別を解消するために教育勅語を他県にもまして強く教え、忠君を強いる体制によって沖縄戦での集団自決(強制集団死)に不可避的に追い込まれたと指摘し、爾臣民という言葉がよみがえることを許さない状況の確立を目指して先駆けとなると表明した。

 同会の高嶋伸欣琉球大名誉教授は「爾臣民という3文字が、いかに戦前の日本社会を窮屈にしたか。松井市長への抗議だけではなく、社会科教育の責任もある」と話した。沖縄戦体験者の玉寄哲永氏は「(勅語の)一部分が良いという人がいるが、皇民化教育の恐ろしさや勅語の精神が分かっていたら、その言葉は使わないはずだ。感度が鈍くなっている」と警鐘を鳴らした。

 (沖田有吾)