【石垣】普段は国内外の旅客船が使用する石垣市の石垣港クルーズ船バース。11日午前8時40分ごろ、民間船が行き交う中、米海軍のミサイル駆逐艦「ラファエル・ペラルタ」が港の沖合にいかりを下ろした。午後には兵士が小型船に乗り換え、私服姿で上陸。船上では軍人が迷彩服姿でライフル銃を手にし、星条旗の下でいすに腰掛け足をのばしくつろいでいた。市民らは米側の要請で設置されたバリケード越しに「浮かぶミサイル基地、来るな」と訴えた。
午前8時過ぎ、沖合から灰色の艦船が港に近づいてきた。背後に竹富島が浮かぶ沖合に停泊した。強い風が吹く中、市民らは寄港中止を求めるのぼりやプラカードを手に、港の前に集まった。
市内の農家、具志堅正さん(62)は「米軍艦立入禁止」と書いたメッセージボードを掲げた。「米軍は石垣に来た既成事実を作り上げ、今後も利用するつもりだ。この島に軍事を持ち込まないでほしい」と語り、軍事に頼らない平和な島を望んだ。
半袖、半ズボンなどの軽装で若い米兵らが同日午後に上陸した。バスに乗り込み市街地に向かおうとすると、出入り口前で何人かの市民らがバスの前に立ちはだかり、行く手を阻んだ。「島を戦場にさせたくない」との市民の声と「道をあけてください」と叫ぶ警備員の声が入り交じり、現場は騒然とした。しばらくすると警察官が「下がってください」と言いながら市民を道路脇に移動させた。
島で起こる軍事的な動きに何度も抗議の声を上げてきた山里節子さん(86)は静かな声で語った。「怒りもワジワジーも通り超して、笑い飛ばしていこう。あすもあさっても、この島から駆逐艦が出港するまで声を上げる」
(照屋大哲、友寄開)