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「自分事として考えて」 琉球遺骨返還へシンポ


「自分事として考えて」 琉球遺骨返還へシンポ 琉球民族遺骨問題に関するシンポジウムで熱心に講話を聞く参加者ら=23日、県立博物館・美術館講座室
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 研究目的で持ち出された琉球人遺骨の返還を求める「ニライ・カナイぬ会」などは23日、琉球民族遺骨返還請求盗掘問題を考える対話シンポジウム「先住民族うしぇーらんけー!!―琉球人遺骨返還請求訴訟高裁判決確定後に考える〈返還〉―」を那覇市の県立博物館・美術館講座室で開催した。約40人が参加した。
 同シンポジウムでは、昭和初期に旧京都帝国大学(京都大)の研究者によって、今帰仁村の風葬墓「百按司(むむじゃな)墓」から持ち出された琉球遺骨の返還を求める同訴訟の控訴審判決と、県教育委員会に関連文書の開示を求めた計2件の訴訟を踏まえ、現在の状況や今後の運動について考えた。
 登壇した沖縄近現代史家の伊佐眞一氏は「自分事として考え、行政や学者らにはっきりと意見を伝える必要がある」と強調した。
 北海道大学公共政策大学院の辻康夫教授は、琉球やアイヌの先住民族文化を理解する人は増えてきたと説明。一方で、遺骨の返還拒否が行われるなど、マイノリティーへの支配と抑圧の構造がなくならないことを疑問視した。「不正な構造を変革するためには歴史の検証を行い、反省し、これからどうすべきか検討する必要がある」と提言した。 (與那原采恵)