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那覇のLRT計画、はじまりは翁長市政 2040年度の開業向け本格始動へ 沖縄


那覇のLRT計画、はじまりは翁長市政 2040年度の開業向け本格始動へ 沖縄 LRT整備計画素案について、報道陣の質問に答える知念覚市長(右)と幸地貴都市みらい部長(左)=28日午後、那覇市役所(又吉康秀撮影)
この記事を書いた人 Avatar photo 吉田 健一

 次世代型路面電車(LRT)導入に向けた那覇市の整備計画素案が28日、公表された。翁長市政、城間市政時代から調査検討が行われてきたLRT導入計画がいよいよ現実味を帯びた格好で、那覇市は3年後をめどに、事業化に向けて県や県警、路線バス事業者など関係機関との合意形成を図る考えだ。

 ライト・レイル・トランジットの頭文字を取ったLRTは低床車両を使用した新型路面電車で、交通渋滞の解消や排ガスや騒音対策など環境面から車に代わる新たな交通機関として、ドイツやフランスなど欧米の都市を中心に導入されている。国内では、栃木県宇都宮市と芳賀町間を結ぶLRTが昨年8月に開業し、脚光を浴びている。

 那覇市も素案の策定に当たって、芳賀・宇都宮LRTなどを参考に事業費などを算定した。総事業費約480億円のうち、270億円は国費を活用する考え。導入する車両は全長30メートルの3両編成で、東西12、南北9の計21編成を想定する。

 軌道の敷設位置は4車線道路の中央2車線を想定しており、幅員が狭い道路については県との協力を得た上で拡幅工事する考えだ。また、市は24年度から車線減少に伴う交通への影響について調査する予定。

 一方、収支については、運輸収入を2路線合わせて約11億2千万円、経費を約9億7千万と見込み、単年度収支で約1億5千万円の黒字と試算した。

 那覇市におけるLRTの導入検討は、故翁長雄志氏が2期目の市長選(2004年11月)で掲げた公約を機に始まったとみられる。再選翌年の05年9月定例会で、翁長氏はLRTの導入について「国際通りと新都心周辺住宅地、そして近隣市町村がLRTなどの便利な公共交通機関で結ばれ、モノレールやバス、自転車などの交通機関とリンクすることで、だれでも安心して安全に、そして安価に中心市街地へおいでいただき、にぎわいのあるまちを楽しんでいただくことができると期待をしている」と語っていた。

 (吉田健一)