知念覚那覇市長は28日、次世代型路面電車(LRT)導入に向けて市の構想をまとめた「LRT整備計画素案」を発表した。中心市街地、真和志、新都心の三つの地域を東西、南北の二つの路線で結び、既存の路線バスやタクシー、モノレールとLRTを有機的につなぐことで「誰もが移動しやすいまち」を目指す。概算の総事業費は2路線合わせて約480億円。東西ルートから先行的に整備を進め、2040年度の開業を目指す。
市は5月1日から31日まで、素案に対するパブリックコメントを実施する。素案を基に県など道路管理者や県警、路線バス事業者などとLRT導入に向けた協議を行い、2025年度末を目標に整備計画を策定する。
素案では、LRTの整備ルートとして、県庁北口から与儀、寄宮交差点を経由し、南部医療センター周辺に至る東西ルート(約5キロ)と、新都心から真嘉比、寄宮を経由し、真玉橋に至る南北ルート(約5キロ)の2路線が示された。
さらに、東西路線の支線(約1キロ)として県庁北口から若狭海浜公園付近をつなぐルートも提示した。支線は那覇クルーズターミナルとの連結を視野に入れる。車両基地は久米にある松山公園の地下に整備する。
寄宮交差点付近は東西、南北路線が交差する交通結節点としての機能整備を図る方針で、これまで公共交通が不便な地域だった真和志地域の利便性向上が期待される。
1日当たりの平均乗客数は東西線で1万5100人、全線で2万1900人を予測する。市は今後、県が実施中の交通手段などを調べる「パーソントリップ(PT)調査」の結果を基に再度、利用客の推計などを行う。
「上下分離方式」での事業着手を想定しており、LRTの運行に必要な施設の建設や車両保有は那覇市が担い、車両の運行は第三セクターが担う。
会見で知念市長は「環境や人に優しいLRTを中心市街地や真和志、新都心の三つの拠点を結ぶ基幹的公共交通として位置付け、既存のバスやタクシー、モノレールと連携することで人々の移動をよりスムーズに、さらに住みよいまちへと発展させたい」と語った。
(吉田健一)