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【記者解説】那覇LRT、車線減の影響は?「歩いて暮らせる町」へ期待と課題 


【記者解説】那覇LRT、車線減の影響は?「歩いて暮らせる町」へ期待と課題  【イメージ】JR宇都宮駅を出発するLRTの列車
この記事を書いた人 Avatar photo 吉田 健一

 那覇市のLRT導入は実現すれば、路線バスやモノレールだけではなしえなかった那覇都市圏の「交通渋滞の緩和」だけではなく、市が掲げる「歩いて暮らせる町への転換」が期待される。一方、導入で自動車の通行帯が4車線から2車線に減少することから、「逆に渋滞がひどくなる」との懸念もつきまとう。LRTを含めた公共交通への転換が不可欠で、事業化に向けても超えるべき課題は多い。

 県都として、政治経済の中心である那覇市の道路事情は全国ワーストレベルだ。市内の一般道路の「混雑時平日平均旅行速度」(2021年度)は10・5キロで、東京23区や大阪市より低い水準となっている。

 背景には県民の自動車保有率の高さに加えて、観光客急増に伴うレンタカーの増加がある。市内居住者の通勤・通学の交通手段は自家用車が最も多く、公共交通は2割以下となっているのが現状だ。

 一方、LRT事業化に向けた課題の一つに県との関係がある。今回、那覇市が素案で示した二つのルートは県道が多くを占めており、県の協力なくして事業化の見込みはない。市は県などの道路管理者や路線バス事業者など関係機関との合意形成に3年、許認可申請に3年、着工から開業までに10年とトータルで16年のスケジュールを描く。

 会見に出席した幸地貴都市みらい部長が「合意形成が整えば実現の可能性が出てくる」と語るように、LRT事業化の成否は今後3年にかかっていると言っても過言ではない。 (吉田健一)