県は5日、新型コロナウイルス感染症について相談する発熱コールセンターの運営委託事業で、昨年4、5月分のオペレーターの勤務時間を水増しするなど約964万円分の不正請求があったことを発表した。受託していた日本トータルテレマーケティング(本社・東京都)は近く返金する。同社は感染が拡大した2020年2月から発熱コールセンターの事業を受託しており、県は過去にも不正がなかったか調べる。
県によると、オペレーターの勤務実績と受電記録を調べたところ、5月には21人が一度も電話応答をしていなかった。また、発熱コールセンターの昨年6~12月分の勤務実績を調べると、別に委託していたワクチンコールセンターとオペレーターを重複させている疑いが出たという。
県に対し、同社は3月26日、人件費の重複請求や、タイムシートの書き換えによる勤務時間水増しを認める報告書を提出。県が支払った約3350万円のうち964万円が過大請求だったとし、県が求めた人員を集められなかったことを理由にしているという。
会見した保健医療介護部の糸数公部長は「県民の不安に対応するはずのコールセンターでの不正は残念であり、強い憤りを感じる」とし、同社に第三者を交えての調査を求めた。同社は発熱、ワクチンの両コールセンターの運営受託費をこれまで計約6億8千万円受け取っている。
同社は「県庁、県民の皆さまに申し訳なく、おわびしたい」とコメント。社外の専門家のアドバイスを受ける調査チームを社内に設けたという。
同社は、京都市でも新型コロナ関連業務で8億円以上となる人件費の過大請求を認めている。同市は詐欺の疑いで同社を警察に告訴した。
(宮沢之祐)