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医師らが被災女性支援 能登地震 長引く避難、課題抱え


医師らが被災女性支援 能登地震 長引く避難、課題抱え 支援物資を取りに来た女子中学生(右)と話す「Colabo」代表の仁藤夢乃さん=3月、石川県能登町
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 能登半島地震で避難生活が長引く中、生理用品の不足や性被害が懸念される女性への支援を民間団体や医師らが続けている。避難中は性別役割分業の圧力が強まりがちで、食事の準備などで女性の負担がより大きくなるとの指摘も。専門家は「女性は社会的、経済的に脆弱(ぜいじゃく)な立場に置かれやすく、災害時は課題を抱えやすい」と女性視点の防災対策や対応窓口の必要性を強調する。
 「かわいい!」。3月中旬、石川県能登町の県立能登高の校舎内で机に並べられた衣類などの物資を前に、女子生徒は声を上げた。一般社団法人「Colabo(コラボ)」代表の仁藤夢乃さん(34)らが「全部持って行っていいんだよ」と呼びかけると、生徒らは喜んで手に取り始めた。
 同校の町端千咲さん(17)は「夜用の生理用ナプキンがあってうれしい。避難所では手に入りづらい」と話した。普段は虐待や性暴力に遭った若年女性を支援している仁藤さんらは、被災地で女子中高生らに物資提供などを実施。町立能都中では女子中学生にヘアアイロンや洗顔料を配った。
 仁藤さんは「ナプキンが避難所に届いても男性が管理し、受け取りづらいのが現状だ」と説明。加えて、避難所での炊事や掃除は女性が担うことが多くなるといい「災害時は女性差別が顕著に現れる」と危ぶむ。
 石川県七尾市の内科医根上昌子さん(57)は、被災した女性らの相談に乗っている。巡回した避難所の多くでは、生理用ショーツなど女性に必要な物資が届いていなかった。「トイレを我慢し、尿路感染症になる女性が多い」。トイレは我慢しないこと、外陰部の清潔を保つため、入浴できないときはお尻ふきで拭くことなどを伝えている。
災害時は性被害の危険性も高くなるとされる。過去の震災では避難所などでの被害報告があった。