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3カ月待ちのヒット商品 再生段ボールに色鮮やかな紅型を染色 沖縄


3カ月待ちのヒット商品 再生段ボールに色鮮やかな紅型を染色 沖縄 段ボールに手染めした紅型製品を作る「てるしのワークセンター」の通所者=南風原町
この記事を書いた人 Avatar photo 宮沢 之祐

 精神障がい者や知的障がい者が通う南風原町の事業所で開発された紅型製品「せかいにひとつ」が、地域ブランド「はえばる良品」に選ばれたのを機に注文が相次ぎ、3カ月待ちの人気になっている。再生した段ボールに紅型を個性豊かに染色し、ノートや祝い袋に加工する。「自分たちにしか作れない商品を」と、コロナ禍の中で始まった試みが実を結んだ。

 てるしのワークセンターに通う15人が制作する。同センターは、パンや弁当を販売してきたが、感染拡大に伴い、売りに出るのが困難に。そこで2021年、紅型技術指導員の比嘉敏子さん(53)を中心に、独自製品の開発に挑んだ。

 Tシャツを染めてもプロの工房に太刀打ちできない。廃棄される段ボールを材料にしてみた。水に漬け、薄くはがす。染色は伝統にこだわらず、自由な配色に。ただし、色をさした後、濃い色でぼかしを入れる隈取(くまど)りは必ず施すようにした。

 「この色、すてき」。比嘉さんが、絵筆を動かすメンバーに声を掛ける。チョウの触覚を9色に塗り分けるなど固定観念や効率にはとらわれない。「先生が褒めてくれるから自信がついた」と新城元美さん(61)。

 伝統工芸と福祉、資源再利用を組み合わせた取り組みが南風原町と同町商工会に認められ2月、はえばる良品に選ばれた。評判となり、今はホテルやセレクトショップなど15店に出荷する。

 型彫りを担当する町田冬美さん(19)は、注文が増えて「めっちゃうれしい」。明るく、淡い色が好きな渡口真央さん(20)も「人が笑顔になる作品を作りたい」と張り切る。

 リングノート1650円、祝い袋660円。問い合わせは、てるしのワークセンター、電話098(889)4011。

 (宮沢之祐)