有料

地鳴り、横揺れ 被害続出 愛媛・高知地震 「南海トラフ」に不安


地鳴り、横揺れ 被害続出 愛媛・高知地震 「南海トラフ」に不安 愛媛県大洲市の落石現場=18日午前8時48分(共同通信社ヘリから)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 夜中に突然の地鳴りが響き、大きな揺れが十数秒続いた。愛媛、高知両県で17日深夜、震度6弱を観測した地震。水道管は破裂し屋根瓦は散乱、落石や石垣の崩落も見つかった。「もし南海トラフ巨大地震が起きたら…」「頭の中が真っ白」。住民らからは不安の声が上がった。 (1面に関連)
 震度6弱を記録した愛媛県愛南町。自宅で就寝中だった愛南漁協の立花弘樹組合長(60)は地鳴りで飛び起きた。横揺れが十数秒続き、木造2階建てはミシミシときしんだ。「漁協の施設が影響を受けていないか心配だ」 
 地震から一夜明けた18日、被害の爪痕が明らかになった。美しい景観が有名な町の外泊(そとどまり)地区の集落「石垣の里」では石垣の崩落を確認。住民の吉田誠幸さん(74)は自宅前の道をふさいだ石を前に「昼には観光客がいるから、地震が起きたのが夜でまだ良かった。不幸中の幸いだ」と話した。
 町立柏小学校では体育館の壁が一部はがれ落ち、窓ガラスが割れた。児童らにけがはなく、校内や通学路の安全を確認した上で通常通り授業を実施した。
 同じく震度6弱を観測した高知県宿毛市で1人暮らしをしている森田八千子さん(85)の自宅の壁ははがれ、棚の中の食器はばらばらに散乱した。「ぼうぜんとして、揺れが収まるまで動けなかった」と、地震の恐怖を振り返った。
 震度5強の愛媛県宇和島市では住宅の屋根瓦が崩れ落ち、歩道には破片が散らばった。近くを散歩していた松江徹さん(68)は「瓦が落ちるほどの地震は最近なかった。南海トラフ地震が起きたら、命はないかもしれない」と不安そうな表情を浮かべた。
 富山市から観光で訪れていた鮫島一さん(79)は、宿泊先のJR宇和島駅近くのホテルで地震に遭った。能登半島地震も経験したが、今回の地震の方が強く感じたといい、「実家では備えをしていたが、旅行先でもしなければいけないとは」と不安を口にした。