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「夜間でも考えにくい」 海自ヘリ墜落 元パイロットが分析


「夜間でも考えにくい」 海自ヘリ墜落 元パイロットが分析 海自ヘリ墜落事故のイメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 海上自衛隊のSH60K哨戒ヘリコプター2機が墜落した事故は夜間に発生し、衝突した可能性が高いとみられる。海自で哨戒ヘリパイロットを経験した笹川平和財団上席フェローの小原凡司氏は「通常は、僚機の位置を把握しながら飛ぶ。夜間で視界が悪いとはいえ、考えにくい事故だ」と話す。 (1面に関連)
 海自によると墜落した2機ともう1機の計3機は対潜水艦戦の訓練中。通常なら機体からつり下げたソナーを海中に投入し潜水艦の位置を絞り込み、ヘリ同士で囲むように追尾する。互いの位置はレーダーなどで把握。過去の事故を教訓に、飛行中の高度は互いに異なるようにするという。
 小原氏によると、ソナー投入では、どの機体も同じ高度まで降下しホバリングする。その位置を維持しながら慎重に作業に当たる。「海中にソナーが入った状態で、機体を動かすとソナーに引っ張られて墜落する恐れがあるため、動きが極めて制限される」と話す。
 こうした事情に加え、夜間飛行ではそもそも周辺の把握が難しい。だが、小原氏は衝突防止のライトや、別の機体の急接近を知らせるアラートも装備されているとして「なぜ衝突したのか分からない」という。
 衝突につながった要因をこう推測する。「ソナー投入などに伴い1機の動きが制限された状態で、もう1機が何らかの原因で僚機の位置を把握できなかったか、機体を制御できなくなったぐらいしか考えられない」