東邦大学の脇司准教授と法政大学の島野智之教授らの研究グループは24日、ヤンバルクイナの羽から新種のダニ「ヤンバルクイナウモウダニ」を発見したと発表した。鳥の羽の汚れを取るダニとしてヤンバルクイナの役に立ってきたと考えられるという。やんばる地域でのヤンバルクイナの愛称「アガチ」にちなみ、学名は「メタナルゲス・アガチ」とした。
同日付の日本動物分類学会英文誌「Species Diversity(スピーシーズ・ダイバーシティ)」に掲載した。ヤンバルクイナウモウダニはウモウダニの一種で、ヤンバルクイナの羽のみに住む。羽に付いた菌類やバクテリア、ごみ、古い油などが餌。血を吸ったり皮膚を食べたりすることはない。
雄は他のウモウダニと比べて脚が短く、胴体の後ろ側の二股に分かれている部分が細長く伸びているのが特徴。
体長は約700マイクロメートル。1ミリに満たないが、ヤンバルクイナの黒い羽の上では薄茶色の体がよく見えたという。2008~20年に集められて保管されていたヤンバルクイナの標本の羽300枚以上を調べて発見した。
島野教授は「ヤンバルクイナが新種に記載されて43年たっても発見されなかったヤンバルクイナウモウダニの存在は、未知の生物がまだまだ見つかる可能性を示している」と語った。
(中村優希)