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SNS投資詐欺多発 23年 被害2000件、右肩上がり


SNS投資詐欺多発 23年 被害2000件、右肩上がり SNS型投資詐欺の認知件数と被害額
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 交流サイト(SNS)で投資家や著名人をかたった「SNS型投資詐欺」が多発している。警察庁が被害状況を初めて集計した2023年の認知件数は2271件、被害額は約277億円といずれも右肩上がりで、同庁は全国の警察に対策を指示。過去最多とみられる約7億円の被害も起き、識者は「投資ブームが被害急増に影響している」と注意喚起する。
 兵庫県の30代の女性会社員は22年夏、物価上昇が続くニュースに不安を覚えた。資産を増やそうとX(旧ツイッター)で情報を探すと、「収益5600万円達成」と記載した「デイトレーダー」のアカウントが目に。外国為替証拠金取引(FX)に関する投資の助言を頻繁に投稿していた。
 X上で連絡を重ねると、数百人が参加するLINE(ライン)グループに招待され、海外の証券会社を利用したFX投資を勧められた。プロのトレーダーに取引を任せ、損益が自分の口座に反映される「コピートレード」というもので、指定されたインターネット口座に女性が複数回現金を送ると利益が出続けた。
 23年夏ごろ、送金額の2倍の取引ができると案内があり、約200万円を入金。だが突然負けが続く取引が行われ、数百万円あった口座が0円に。アカウントは音信不通になった。他の参加者も同じ状況で、女性は「詐欺だった。信用しきっていた」と後悔する。
 同様のSNS型投資詐欺が最近相次いで確認され、警察庁が被害を初集計。23年1月は認知件数85件、被害額約8億円だったが12月は369件、約53億円に急増し、同庁は今年3月に都道府県警に対策や情報共有の推進を求める通達を出した。
 だが4月には茨城県の女性が著名経済アナリストらをかたる人物に約7億円を詐取されたことが判明。SNSで著名人に成り済ました偽の投資広告で金銭をだまし取られた男女4人は、広告の真偽の調査を怠ったとして米IT大手メタの日本法人に損害賠償を求め神戸地裁に提訴した。
 投資詐欺の相談を受ける佐久間大地弁護士は新NISA(少額投資非課税制度)の周知やネット証券の広まりで、投資そのものやネット上で金銭をやりとりすることへの抵抗感が薄まったのも被害急増の原因の一つとみる。「SNSで知り合った人から投資を勧誘されたら詐欺の可能性を疑った方がいい」と話した。