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修学旅行の民泊先、高齢化で「引退」相次ぐ コロナ後の需要に追い付かず 沖縄


修学旅行の民泊先、高齢化で「引退」相次ぐ コロナ後の需要に追い付かず 沖縄 民泊先の人と交流する奈良・山添中学校の生徒たち=4月16日、読谷村役場
この記事を書いた人 Avatar photo 宮沢 之祐

 コロナ禍で激減した修学旅行生の民泊が回復傾向にある一方、高齢を理由に受け入れを断る家庭が増えている。

 「民泊が一番の思い出になる」と学校側の評価は高いが、元のような受け入れは困難に。民泊を仲介する県内各地の団体は、一部で連携を始めるなど事業の継続を模索している。

 3月、沖縄観光コンベンションビューローが開いた教育旅行民泊分科会。県内の15団体が参加した。受け入れ家庭の減少は共通の悩みで、「公民館に広告を」「紹介料を出す」など募集の強化について話し合った。

 参加団体の一つ、「ちゅらむら読谷」は2008年から読谷村で民泊を展開する。17年度には全国から117校、約1万8千人が訪れた。しかし感染が拡大した20年には3校、約600人に。徐々に回復し、本年度は77校を予定している。

 京都府の向日(むこう)市立寺戸中学は5月、5年ぶりに読谷を訪れる。橋本亮太教諭は「温かい雰囲気の中で文化に触れ、戦争の話も聞けて、生徒の心に残る」と期待する。民泊での見聞を探求学習に生かす学校も増えている。

 一方の受け入れ家庭。感染拡大前は読谷村内で約100世帯だった。現在は約50世帯。1世帯が生徒4~6人を泊めるが、「体力的に厳しい」と再開を断念する家庭が多いという。そのため生徒数が250人を超えると受け入れ困難に。苦肉の策で、ほかの団体に頼み、一部の生徒を北中城村などで引き取ってもらっている。逆に他団体からの受け入れ依頼もあるという。

 読谷では受け入れ家庭の8割以上を60~70代が占める。十数年の経験がある女性(77)は「若さがもらえる」と意欲的だが、頑張れるのは「あと3、4年」とも。

 受け入れ家庭を募るちゅらむら読谷の大城光代表(68)は「受け入れ先への報酬だけでなく、食材を村内で購入するなど地域経済への効果がある。読谷を再訪してくれる生徒もいる。やりがいと経済面の両面を知ってほしい」と話している。 

(宮沢之祐)