山口県宇部市で60年以上の歴史を持つ野外彫刻の国際コンクール「UBEビエンナーレ」が今年3月、最も長く続く野外彫刻展としてギネス世界記録に認定された。選考委員を務める女子美術大の日沼禎子教授は彫刻が市民の身近にある環境に触れ「市民が大切に守り続けた結果が今の彫刻展につながっている」と意義を強調した。
石炭が多く採れた宇部市は戦後、工業都市として発展するとともに「世界一灰の降る街」と言われ、多量のばいじんを排出していた。荒れた街の美化を求めた市民運動をきっかけに、1961年に「第1回宇部市野外彫刻展」が開かれた。現在は2年に1度の開催で、30回目の今年は28の国と地域から応募があり、世界中の彫刻家が集う野外彫刻展へと成長した。
彫刻展は有志の市民による「宇部市ふるさとコンパニオンの会」などが解説ガイドや制作補助、清掃活動を通して支援。脇弥生会長(71)は「彫刻は見る位置や天気、時間によって表情を変える」と魅力を語る。
市内には東京スカイツリーのデザイン監修をした澄川喜一さんの作品など216点の彫刻が点在し、街に彩りを添える。さらに小学4年生には野外彫刻鑑賞を実施。彫刻は幅広い世代に親しまれている。
一方で、歴史は長いが野外彫刻展の知名度は不足するなど、さまざまな課題もある。市は開催の節目には意見を募るワークショップを実施。今後も持続可能な開催の実現と歴史をつないでいけるよう、魅力ある彫刻展へ向け推進ビジョンを取りまとめる方針だ。
有料
野外彫刻展 ギネス認定 山口「UBEビエンナーレ」
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琉球新報朝刊
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