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猫の「保育園」オープン 徳島 殺処分3年後ゼロ目指し


猫の「保育園」オープン 徳島 殺処分3年後ゼロ目指し 「あわねこ保育園」のオリジナルグッズ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 徳島市に4月上旬、少し変わった“保育園”がオープンした。「あわねこ保育園」は野良猫の保護施設でありながら、猫カフェのようにいつでも訪れることができる開放型シェルターだ。譲渡へつなげ、啓発施設としての役割も担う。目指すのは「徳島県の殺処分を3年後にゼロにすること」だ。
 施設を運営するNPO法人は野良猫の繁殖を防ぐため、捕獲し、不妊・去勢手術をして元の場所に返す「TNR活動」をしてきた。けがや病気で自活できない猫はシェルターで保護していたが、人が常駐できず、気軽に訪れにくいイメージもあったため開放型シェルターの開設を目標としていた。
 また、譲渡会は猫がいつも暮らしている施設とは異なる場所で開催されることが多く、「借りてきた猫」状態に。それぞれの猫の良さをアピールできず、譲渡が決まらないという課題もあった。
 そうした状況を踏まえて完成したあわねこ保育園は、木材をふんだんに使った広々とした空間が特徴。猫が普段通りに生活する姿を見てもらえるため、譲渡後のイメージも湧きやすいという。
 譲渡先の家庭を「ずっとのおうち」と呼び、施設名には「ずっとのおうちに行くまでの保育園」という意味を込めた。健康な猫の部屋のほか、白血病などを患う猫を最期まで世話できる部屋も完備。獣医師を呼べば去勢手術もできる。
 施設には事故で足を失ったり、病気で失明したりした猫もいる。園長の井上智美さん(50)は「野良猫は非常に短命だ。かわいいというだけではなく、あまりにもひどい現実を知ってほしい」と話す。「保護猫の存在を周知する啓発施設にもしたい」と実情を説明した本を置き、動画を流して活動への理解を促す。
 あわねこ保育園への入場料は15分400円から。平日も午後8時まで営業しており、譲渡希望でなくても、仕事終わりに15分だけ訪れる、ということも可能だ。オリジナルグッズなども販売し、運営費に充てるという。