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全国で流行の波繰り返す 昨年5~11月、1.6万人超死亡


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類に移行し、8日で1年となった。日常生活は平時に戻りつつあるが、依然として流行の波を繰り返している。厚生労働省が4月に発表した最新の人口動態統計(概数)によると、昨年5~11月に計1万6043人が新型コロナで死亡。専門家は「命を落とす人がいることを改めて理解して」と訴える。政府は法改正や新組織発足を進め、次の感染症危機に備える。
 昨年夏から秋にかけて流行「第9波」となり、沖縄県では医療が逼迫(ひっぱく)し、救急搬送を受け入れられない事態も生じた。冬には第10波も。今年4月以降は、治療薬や入院費の負担が増え、医療機関への受診控えも危惧される。
 マスク着用といった基本的な感染対策は今後も状況に応じて求められる。国立病院機構三重病院の谷口清州院長(小児感染症学)は「国民が適切な感染対策を取るためにも、政府は重症化率や入院後の死亡率といった感染の実態が分かる情報をこまめに知らせるべきだ」と指摘する。
 政府は病床逼迫を防ぐために感染症法などを改正。平時のうちに都道府県と医療機関が協定を結び、流行時に病床5万1千床を確保することを目指す。今国会では自治体に対する国の指示権拡充を盛り込んだ地方自治法改正案も提出した。
 23年9月には政府対応の司令塔を担う「内閣感染症危機管理統括庁」が発足。25年4月には政府に科学的助言をする「国立健康危機管理研究機構」が発足予定だ。