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「挑戦する背中、子に見せたい」 障がいある2児の母・アクセサリーブランド手がける伊敷さん 25日にファッションショー


「挑戦する背中、子に見せたい」 障がいある2児の母・アクセサリーブランド手がける伊敷さん 25日にファッションショー 伊敷ありささん(左)と、共にショーを運営する與座史音美さん=16日、シャボン玉石けんくくる糸満
この記事を書いた人 Avatar photo 岩切 美穂

 障がいがある2人の子の母親で、アクセサリーブランド「AILEY」代表の伊敷ありささん(34)=糸満市=が初めてのファッションショーを糸満市で25日に開催する。

 「挑戦する背中を子どもたちに見せたい」との思いを込める伊敷さん。自身が育児に悩んだ経験を基に、同じ境遇の親たちへは「人はいつからでも変われる」と伝え、育児に前向きになれるメッセージにつなげたいと願う。

 伊敷さんの長男(6)は3歳の時、自閉症スペクトラムと診断され、長女(5)は生後9カ月で、先天性の脳の障がいによる右片まひがあると判明した。

 長男はこだわりが強く、思い通りにいかないとかんしゃくを起こすことがある。「ママ嫌い、あっち行け」との言葉に傷つき、思うようにいかない育児にいらいらしてどなったこともあった。

 周囲に相談しても、外見で障がいが分からないこともあって葛藤を理解されず、疎外感を抱いた時期もあった。障がいの診断を受けた後も現実を受け入れられず、長女のリハビリにも追われ、長男の妊娠中に始めたアクセサリー作りをやめていた。

 「うちは子ども2人に障がいがあるから仕方ない」。環境のせいにし、どん底まで落ち込んだ。「このままでは子どもを手に掛けてしまうかも。母親失格だ」。追い詰められた3年前、運転中に看板を目にした「命の電話相談」に電話した。相談員は偶然、自分と同じ障がい児の母だった。「あなた、努力したのよね」。寄り添う言葉を初めて掛けられ、張り詰めていた心が解放された。

 息子が通う療育施設の職員らとも交流を深める中で「過去は上書きできる」との言葉に勇気をもらったという。「障がいを理由に子どもたちが挑戦することをあきらめないよう、まず私自身が挑戦しよう」と、昨年はミセスオブザイヤー沖縄大会に出場しグランプリに選ばれた。

 新たな挑戦となるファッションショーのテーマは「ワンランク上の私へ 沖縄をまとう」だ。沖縄の自然をデザインした伊敷さんのアクセサリーを着用し出演するのは、県内の30~60代の男女10人。出演者たちはモデル未経験ながら殻を破って成長したいと願い、挑戦するという。

 ショーを運営する與座史音美さん(31)=那覇市=は「子どもの障がいというハンディを抱えながらも挑戦する伊敷さんに、母として共感した。ショーの主役は挑戦する人。挑戦することで視野が広がり、生き方の選択肢が広がることを感じてほしい」と話した。

 ファッションショーは25日午後2時、シャボン玉石けんくくる糸満多目的室で。入場無料。
 問い合わせは電子メールailey.okinawashow@gmail.comまで。

 (岩切美穂)